トヨタのEV戦略 2020

朝礼

日経新聞によると、トヨタの研究開発費は2019年度で年間1兆1000億円で、これは日本企業のトップ。最近はAIに代表されるIT分野に開発の裾野が広がったため、毎年5%程度の増加が予想されるという。メディアで「トヨタはEV開発に出遅れている」というアホな記事をよく見かけたが、それがいかに的外れかはこの研究開発費だけを見てもわかる。 他社が商品化しているのにトヨタが市場に出していない技術は、開発が遅れているのではなく、商品化のタイミングを見定めているか商品化の見込みがないと判断したのどっちか。それには、トヨタなりの理由がある。

トヨタは近年、いろいろなことをやってきた。EV、PHEV、ハイブリッド、水素、ディーゼル、あらゆる内燃機関。そのなかでも一番力を入れているのはハイブリッドだ。トヨタの販売台数の100万台はハイブリッド車である。いろんなことをやってきたなかでも、彼らにはデータがある。しかし時代の流れというのもありEVを売らなくてはいけないことにもなってきた。電気をつくるにも実は大量の二酸化炭素がでる。太陽光や原子力を使わないかぎり、それほどエコなものでもない。

先進国ではハイブリッド車。これがトヨタの基本戦略と言えそうです。

レクサスUX300e
CH-R EV

一方新興国の中国では、トヨタ初となる量産EVとして2020年から中国、欧州を皮切りに、日本にも2021年初めに投入する予定のレクサス「UX300e」  実験的にリース販売などで少量生産したものを除けば、トヨタはまだバッテリーだけで走るピュアEV車を発売していない。  トヨタ初のEV量産車となるのは、C-HRのEV仕様とレクサスUXのEV仕様。どちらも、2020年に中国を皮切りに販売が開始される予定だ。

EVに必須の重要技術は、バッテリー、モーター、パワーコントローラの3つ。自動車メーカーならどこでも、この3点セットを用意すればすぐEVを造ることができる。トヨタは3点セットの調達もしっかり時間をかけながら考えてきたのであろう。従来からのパナソニックに加えて、中国BYDやCATLなど、新たなバッテリーのサプライチェーンが構築できたことでようやくトヨタのEV量産にゴーサインが出た。それが、トヨタがEV参入に慎重だった最大の理由と言えるでしょう。

シャシ、バッテリー

大事なこととして、トヨタはパナソニック、CATL、BYDと平気でバッテリーサプライヤーとして協力していく姿勢を作った。これは並大抵なことではない。トヨタであれば日韓問題も関係無しでLGとも平気で協力しあうような体制を整えそうだ。

世界トップシェア3社をバックにつけEV中国市場に乗り込むトヨタを応援したい。

                 記事 石村忠美