PSAとFCA合併。世界3位自動車メーカー誕生

朝礼

自動車メーカーは合併を模索していますが、ついにFCA(フィアット・クライスラー)とPSA(プジョーシトロエン)が対等合併を発表しました。これにより、年間販売台数で870万台という世界第4位の自動車メーカーが誕生します。ちなみに、3位までのメーカーはフォルクスワーゲン、ルノー日産三菱アライアンス、トヨタとなります。また、FCAとPSAを合計した売上高は1700億ユーロ規模となり、こちらは世界第3位になります。

両社の主なブランドとしてはフィアット、アルファロメオ、ジープ、プジョー、シトロエン、オペルといった名前が並びます。これらは維持し、また工場の整理も考えていないといいます。それぞれのブランドが強みを持つ市場(欧州・北米・南アメリカ)は守りながら、他地域での存在感を強めることで販売台数を伸ばそうということになるでしょう。

今後の取り組みとしては、プラットフォームやパワートレインを複数のブランドで共有することが大事になってくるとおもわれます。幸いにも両社のもつ車のラインナップをみると同じようなセグメントで重なっていますので、スケールメリットが追及しやすくおもわれます。

プジョー、シトロエン、フィアット、アルファロメオのようなセグメントに関しては、完全に同じシャーシで思い切った舵取りをしてみてはどうかと私はおもいます。VWグループがSUVでプラットフォームをコモン化して成功しているように、よく似た4社の小型車は共通化すればいいとおもわれます。

CASEがキーワードとなる時代における合併の狙いは、プラットフォームやパワートレインの共通化というスケールメリットだけではありません。CASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)の各分野においても規模は重要です。より具体的にいえば、電動化に伴うバッテリーなどのサプライチェーンの確立は緊急のテーマといえます。コネクテッドや自動運転といった技術、シェアリングのビジネスモデルなどは個社がそれぞれ進めていっても、デファクトスタンダードを取れるとはいえず、メーカーとしてのスケールが生き残りに影響するためです。CASEの各分野は開発費もかかりますが、メーカーとしての規模を大きくすることで、相応の負担が可能になるといえます。 FCAとPSAの合併によって誕生する新しい自動車メーカー、そのCEO(最高経営責任者)を務める人物も発表されました。それはPSAを率いているカルロス・タバレス氏です。かつて日産自動車の副社長も務めていましたから、その名前や顔を覚えているという自動車ファンも少なくないでしょう。ルノーのCOOからPSAに転身したカルロス・タバレス氏はPSAを復活させた立役者として、その経営手腕が高く評価されています。新会社でも最初の5年間はCEOを務めると発表されているほどです。 トップへのこだわりを持ち続けるカルロス・タバレス氏が率いる、FCA-PSA合併会社は果たして自動車業界のトップに立つことができるのか、さらに他社との合併はあるのか。

                記事  石村忠美